スタンダードプリコーション(標準予防策)とは?
感染症対策は「スタンダードプリコーション(標準予防策)」を元に行います。
スタンダード・プリコーションとは、医療・ケアを提供するすべての場所で適用される感染予防策で、標準予防策とも呼ばれます。感染症の有無に関わらず、あらゆるご利用者様・患者様に対して普遍的に適用される予防策です。「汗を除くすべての血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚・粘膜は感染性病原体を含む可能性がある」という原則に基づき、手指衛生や個人防護具(マスクやガウン他)の着用など感染リスクを減少させる予防策を示しています。
(花王プロフェッショナルサービスHPより引用)
保健所とは?
保健所は地域保健法という法律を根拠に設置されている施設です。
地域保健法とは地域住民の健康の保持・増進、公衆衛生の向上のため、地域保健を推進するための法律です。
そして保健所は地域住民の健康や公衆衛生を保持・増進していくための中核施設です。
疾病予防・公衆衛生の増進など地域住民の健康に関わる仕事を担っています。
保健所は地域保健法に基づいて都道府県、政令指定都市、中核市、特別区などに設置されています。
過去問
36回 問72
次の記述のうち,介護における感染症対策として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 手洗いは,液体石鹸よりも固形石鹸を使用する。
- 配膳時にくしゃみが出たときは、口元をおさえた手でそのまま行う。
- 嘔吐物の処理は,素手で行う。
- 排泄の介護は、利用者ごとに手袋を交換する。
- うがい用のコップは,共用にする。
正解は4です。
<解説>
1固形石鹸は液体石鹸よりも細菌で汚染されるリスクが高いとされています。
2・3・5については不衛生だとすぐにわかりますね。
31回 問109
次のうち、スタンダードプリコーション(standard precautions:標準予防策)において、感染する危険性のあるものとして取り扱う対象を1つ選びなさい。
- 汗
- 唾液
- 経管栄養剤
- 傷のない皮膚
- 未使用の吸引チューブ
正解は2です。
「汗を除くすべての血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚・粘膜は感染性病原体を含む可能性がある」という原則に基づいてスタンダードプリコーションは実施されます。
31回 問25
介護老人福祉施設の感染対策に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 感染対策のための委員会を開催することは任意である。
- 手洗いは、消毒液に手を浸して行う。
- 洗面所のタオルは共用にする。
- 入所者の健康状態の異常を発見したら、すぐに生活相談員に報告する。
- おむつ交換は、使い捨て手袋を着用して行うことが基本である。
正解は5です。
<解説>
1:感染対策のための委員会を開催することは任意である。
→ 任意ではなく義務です
2:手洗いは、消毒液に手を浸して行う。
→ 手洗いは流水と液体石鹸等を用いて行い、最後の仕上げで消毒液を用います。
ちなみに目に見える汚れが手についていない場合、手洗いよりもアルコール消毒液を用いた手指消毒のほうが効率的・効果的に消毒できるとされています。
3:洗面所のタオルは共用にする。
→ 共用ではなく個別にします。またはペーパータオルなど使い捨てのものを使います。
4:入所者の健康状態の異常を発見したら、すぐに生活相談員に報告する。
→ 生活相談員ではなく看護師や医師など医療職に報告します。
28回 問30
感染対策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 下痢・嘔吐が続く介護福祉職は、マスクをして業務を行う。
- 汚れが目に見える場所を消毒することが、感染症予防に有効である。
- モップを使う床掃除の場合は、乾いたモップで汚れを拭き取る。
- 手袋を着用していれば、排泄物や嘔吐物を触った後の手洗いを省略してもよい。
- 固形石鹸よりも液体石鹸の方が望ましい。
正解は5です。
固体石鹸は液体石鹸よりも細菌が繁殖しやすいので液体石鹸のほうが望ましいです。
<解説>
1:下痢・嘔吐が続く介護福祉職は、マスクをして業務を行う。
→ 業務はせずに休んで病院に行きましょう。
2:汚れが目に見える場所を消毒することが、感染症予防に有効である。
→ ウイルス・最近は目に見えないので汚れが目に見えない場所も消毒しましょう。
3:モップを使う床掃除の場合は、乾いたモップで汚れを拭き取る。
→ 濡れたモップでないと汚れを効果的に拭き取れません。
4:手袋を着用していれば、排泄物や嘔吐物を触った後の手洗いを省略してもよい。
→ 手袋をしていても小さな穴があった場合など手が汚染されていることもあります。手洗い(手指消毒)は必須です。
26回 問53
下痢が続いている要介護高齢者への対応に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 水分摂取を控える。
- 肛門周辺の皮膚を強く拭く。
- 温めた牛乳を提供する。
- 下痢以外に訴えがないので、ようすを見る。
- 排泄物は感染源として取り扱う。
正解は5です。
「汗を除くすべての血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚・粘膜は感染性病原体を含む可能性がある」という原則に基づいてスタンダードプリコーションは実施されます。
よって、「排泄物」は「感染源(を含む可能性があるもの)」として取り扱います。
<解説>
1:水分摂取を控える。
→ 脱水にならないよう水分摂取は大切です。
2:肛門周辺の皮膚を強く拭く。
→ 優しく拭きます。
3:温めた牛乳を提供する。
→ 牛乳は人によっては下痢を悪化させる原因になることがあります。たとえ温めたとしても、下痢の時に牛乳を提供するのは控えましょう。
4:下痢以外に訴えがないので、ようすを見る。
→ ようすを見るだけでなく、医療職に報告しましょう。
36回 問17
「感染症法」に基づいて,結核 (tuberculosis)を発症した在宅の高齢者に,医療費の公費負担の申請業務や家庭訪問指導などを行う機関として、適切なものを1つ選びなさい。
- 基幹相談支援センター
- 地域活動支援センター
- 保健所
- 老人福祉センター
- 医療保護施設
正解は3です。
地域住民の健康の保持増進・疾病予防に関わる仕事を担うのが保健所です。
34回 問15
保健所に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 保健所の設置は、医療法によって定められている。
- 保健所は、全ての市町村に設置が義務づけられている。
- 保健所は、医療法人によって運営されている。
- 保健所の所長は、保健師でなければならない。
- 保健所は、結核(tuberculosis)などの感染症の予防や対策を行う。
正解は5です。
<解説>
1 … 保健所の設置は、医療法によって定められている。
→ 医療法ではなく、地域保健法です。
2 … 保健所は、全ての市町村に設置が義務づけられている。
→ 「全ての市町村」ではなく「都道府県、政令指定都市、中核市、特別区など」に設置されています。
3 … 保健所は、医療法人によって運営されている。
→ 保健所の設置主体者(運営者)は「都道府県、政令指定都市、中核市、特別区など」です。
4 … 保健所の所長は、保健師でなければならない。
→ 保健所の所長は、医師となっています。例外的に医師と同等かそれ以上の高い専門性を有する者も認められています。