病院に関わっても原則3割負担で済んでいることはみなさんご存じですよね。ここまで安く済んでいるのは日本には医療保険という、社会保険制度があるからです。
日本には医療保険という社会保険があるので、すべての国民が等しく、しかも少ない負担で医療を受けられているのです。
健康保険証さえあれば、だれでも、どこでも、等しく医療が受けられるなんて日本は恵まれている良い国ですね!
日本の医療保険制度
日本の医療保険は以下のようになっています。
介護福祉士試験で頻出なのは、それぞれの健康保険の対象者・対象者の年齢です。
要注意!!
65歳以上から「前期高齢者財政調整制度」とありますが、これは「制度間の医療費負担を均衡にするためのもの」で、加入している保険は変わりません!!ここ大事です。
決して、「前期高齢者財政調整制度」という保険に加入するわけではないのでご注意を。
また、「国民健康保険と健康保険はベツモノ」 です。名称が似ていますが注意です。
過去問
第33回 問32(発達と老化の理解)
医療や福祉の法律での年齢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 35歳の人は、老人福祉施設に入所できる。
- 50歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。
- 60歳の人は、医療保険の前期高齢者である。
- 70歳の人は、介護保険の第二号被保険者である
- 75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。
正解は5です。
<解説> 以下の年齢はすべて重要です。確認しておきましょう。
35歳の人は、老人福祉施設に入所できる。
→ 原則65歳以上
50歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。
→ 65歳以上
60歳の人は、医療保険の前期高齢者である。
→ 65歳~74歳
70歳の人は、介護保険の第二号被保険者である
→ 第一号保被険者です(65歳以上)
第二号被保険者(40~64歳)
第30回 問9(社会の理解)
Eさん(64歳、男性)は、4年前に企業を定年退職して無職であり、専業主婦の妻と二人で年金生活をしている。他の家族の医療保険の被扶養者ではない。ある日、Eさんは、自宅の庭掃除をしている時に転倒して、大腿骨を骨折(fracture)した。そのため病院で手術をすることになった。
次の制度のうち、医療費の支払いに適用できるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
- 国民健康保険
- 介護保険
- 労働者災害補償保険
- 健康保険
- 後期高齢者医療
正解は1です。
1行目に企業をすでに退職されていて無職とあるので、「健康保険」ではなく「国民健康保険」です。
第36回 問11(社会の理解)
Cさん(77歳、男性)は、60歳で公務員を定年退職し、年金生活をしている。持病や障害はなく、退職後も趣味のゴルフを楽しみながら健康に過ごしている。
ある日、Cさんはゴルフ中にけがをして医療機関を受診した。
このとき、Cさんに適用される公的医療制度として、正しいものを1つ選びなさい。
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
- 共済組合保険
- 育成医療
- 更生医療
正解は2です。
→ ( )の中の、77歳がポイントです。現在77歳なので後期高齢者医療制度、が正解です。
「60歳」「公務員」「年金生活」に惑わされてはいけません。
第28回 問7(社会の理解)
市町村国民健康保険の被保険者に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 日本国籍があれば、住所がなくても被保険者になる。
- 被保険者証の返還を求められた世帯主は、民生委員に当該被保険者証を返還しなければならない。
- 世帯主は、世帯主以外の世帯員の被保険者証の交付を求めることはできない。
- 健康保険法の被保険者であった者が被保険者になることはない。
- 生活保護の受給者(停止中の者を除く)は、被保険者になることはない。
正解は5です。
<解説>
・問題文中の「市町村国民健康保険」というとなんだか初耳の医療保険名でわからなくなりそうですが、単なる「国民健康保険」のことです。国民健康保険の保険者は市町村なのです。
・平成30年からは都道府県が国民健康保険の財政運営を担うことになり、市町村が資格管理、保険給付‘、保険税率の決定などを行うことになりました。
1 … 日本国籍があれば、住所がなくても被保険者になる。
→ どこかの市町村に住所がなければ被保険者にはなれません。市町村が国民健康保険の保険者だからです。
2 … 被保険者証の返還を求められた世帯主は、民生委員に当該被保険者証を返還しなければならない。
→ 民生委員ではなく住んでいる市町村に返還します。
3 … 世帯主は、世帯主以外の世帯員の被保険者証の交付を求めることはできない。
→ 被扶養者の分の保険証の交付も求めることができます。
4 … 健康保険法の被保険者であった者が被保険者になることはない。
→ 健康保険法は、健康保険(企業で働くサラリーマンの医療保険)の根拠となる法律です。健康保険に加入していた者であっても、退職して無職になったり年金生活になれば、国民健康保険に加入できます。
5 … 生活保護の受給者(停止中の者を除く)は、被保険者になることはない。
→ これが正解です。
生活保護受給者は医療扶助を「現物給付(無料で診察を受けられる)」で支給されるので、国民健康保険加入はできません。