介護 理論・用語

人間の尊厳と個人の尊重・自立支援(ADL・QOL)

 

介護サービスを提供するときの基本的な考え方が「人間の尊厳と個人の尊重」です。

 

人間は尊い存在であり、個人として尊重される存在

端的に言えば、上記↑↑の考え方…人間の尊厳と個人の尊重を大切にすることが介護サービスを提供する上で最も重要な考え方となります。

日本国憲法や介護保険法といった法制度にも「人間の尊厳と個人の尊重」が明記されています。

 

・日本国憲法第13条・幸福追求権 … すべての人間は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする

・日本国憲法第14条・平等権 … すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、又は社会的関係において、差別されない

・日本国憲法第25条・生存権 … 第1項;すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。第2項;国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

・介護保険法第1条 … この法律は(中略)要介護状態となり、(中略)介護(中略)を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、(中略)介護保険制度を設け、(中略)福祉の増進を図ることを目的とする。

・社会福祉法第3条 … 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

・障害者基本法第1条 … (前略)全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり(後略)、

・障害者基本法第3条 … (前略)全ての障害者が、障害でない者と等しく、基本的人権を享有する個人として尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提とし(後略)。

 

合格スルオ
人間は年齢・性別・人種・育成環境・教育・性格・経験・健康状態などにより、さまざまな価値観や個別性を有する生き物なので、個人として尊重されなければならないんだね!

 

介護サービス=自立支援とは?

次に、介護サービス=自立支援 を提供するときに大切になる考え方を知っておきましょう。

自立支援とは、その人個人の意思や有する能力を十分に活かしたうえで、自立した生活が営めるように支援すること です。

介護福祉職は、介護サービス利用者の意思や能力を十分に理解し、その人が持つ心身機能を最大限に生かして支援することが求められます。

 

自立支援を行う上での重要ワード!

  • ADL(Activities of Daily Living) とは 日常生活動作のこと。食事、入浴、排せつ、移動、整容などで用いる動作のこと。最低限の日常生活が自分でどれくらい行えるか。
  • IADL(Instrumental Activities of Daily Living)とは 手段的日常生活動作 のこと。ADLよりも応用的な動作を示し、買い物・家事・食事の準備・金銭管理などを示す
  • QOL (Quolity Of Life )とは 生活の質 のこと。QOLは主観的なものであり、利用者が自らの生活について自己選択・自己決定し、自らが送りたいと思っている生活を実現させることが大切である

合格スルヨ
ADLやQOLを把握したうえで、その人個人を尊重しながら自立支援を行っていくことが大切なんだね!

 

過去問

34回 問19

利用者の自立支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1.  利用者の最期の迎え方を決めるのは、家族である。
  2. 利用者が話しやすいように、愛称で呼ぶ。
  3. 利用者が自分でできないことは、できるまで見守る。
  4.  利用者の生活のスケジュールを決めるのは、介護福祉職である。
  5. 利用者の意見や希望を取り入れて介護を提供する。

 

正解は5です。

 

29回 問35

自立支援の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい

  1.  対象者は、介護保険の要介護3以上の人に限られること
  2. 対象者は、意思表示のできる人に限られること
  3. ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を回復すること
  4. 経済的自立を目指すこと
  5. 自己選択・自己決定を支援すること

 

正解は5です。

 

28回 問100

「日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)」に分類されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 買物
  2. 料理
  3. 洗濯
  4. 乗り物利用
  5. 入浴

 

正解は5です。

(1234はすべてIADL(手段的日常生活動作)でADLよりも応用的な動作となります)

 

35回 問1

利用者の生活の質(QOL)を高めるための介護実践に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 日常生活動作の向上を必須とする。
  2. 利用者の主観的評価では、介護福祉職の意向を重視する。
  3. 介護実践は、家族のニーズに応じて行う。
  4. 福祉用具の活用は、利用者と相談しながら進める。
  5. 価値の基準は、全ての利用者に同じものを用いる。

 

正解は4です

 

27回 問20

施設利用者の生活の質(QOL)を重視した介護福祉の実践として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の身体的側面だけでなく、心理的・社会的な面も含む支援を行う。
  2. 利用者の生活時間を職員の業務時間に合わせる。
  3. 利用者が疲れないように食事時間は1時間と定める。
  4. 利用者の居室環境の整備を最優先する。
  5. 利用者のニーズは画一的なものとして支援する

 

正解は1です。

 

30回 問10

介護保険法第1条に規定されている内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 高齢社会対策の基本理念や基本となる事項を定める。
  2. 福祉サービス利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図る。
  3. 介護が必要となった者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、保険給付を行う。
  4. 疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行う。
  5. 老人の福祉に関する原理を明かにし、老人に対し、心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じる。

 

正解は3です。

 

30回 問8

日本国憲法第25条で定められている権利として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 幸福追求権
  2. 新しい人権
  3. 思想の自由
  4. 財産権
  5. 生存権

 

正解は5です。

 

 

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